こんにちは。笠田です。

突然ですがみなさんは、“痛車”(いたしゃ)ってご存知ですか?
アニメなどのキャラクターがボディに描かれている、車のことです。

 

さて、みなさんはきっと思うでしょう。
「ああいう車は、アニメオタクの個人的な趣味なんだろう」と。

 

しかし、実は今、モーターショーや大手レンタカー店でも
痛車の展示やレンタルが行われているのはご存知でしょうか?
世の中痛車の時代が来ているのです。

 

「そんな時代来てたっけ…?」と焦るみなさんのために、
今回はなんと、3年前から痛車のレンタルを行っているという、
まさにパイオニアともいえるレンタカー店へお話を伺ってきました!

 

 

今回訪れたのはここ。
愛知県名古屋市にある、美ツ冨士自動車工業株式会社さんです。
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美ツ冨士自動車さんは、一般車両の整備・修理・車検や、中古車販売、
さらにはカーレンタルを行うお店です。

話を聞かせていただいたのは、部長の長谷川さんです。
とっても元気でかわいらしい、社長の奥様です。
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笠田 長谷川部長、さっそくですが、レンタルをされているという痛車を見せていただいてもよろしいですか?
長谷川 もちろんですよ~。では行きましょう。

 

なんでも、その痛車は今奥のガレージに置いてあるとのことです。

 

 

まっすぐガレージに向かうと思いきや、突然、

長谷川 ちょっと~、あなたこれ貼ってよ!
笠田 !?

その言葉は私ではなく、トラックの整備に来ていたお客さんに対するものでした。

長谷川部長は、お店のオリジナルキャラクターのステッカーを、整備中のトラックに貼ってほしいというお願いをしていたのです(笑)。

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ステッカーを片手に、にこにこ笑顔の長谷川部長。

 

結局、やや強引にぺたっと貼られていったステッカー。
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さらには、指をさした状態で、ステッカーとともに写真に収めようとする長谷川部長。
左手にはいつの間にやら、しっかりとiPhoneが。

 

 

さて、そんな寄り道を乗り越え、ようやくレンタル痛車とご対面です!

 

 

それがこちら!
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笠田 えっ!?長谷川部長のパーカーと同じ色!?
ではなくて。これ、ベンツじゃないですか!!
長谷川 そうなのよ~古い型なんだけどね。

まさかの痛車レンタル、さらにはベンツ。

ただものじゃないぞ、このお店……。

 

 

さて、驚きつつももう少しボディをよく見ていきます。

まずボンネットはこんな感じです。
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おっぱいの大きい女の子がどーん。
ピンクの髪の毛が愛らしい。着ているのは、白衣っぽいような…?

 

側面はこんな感じ。
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やっぱり、おっぱいの大きい女の子がどーーん。

ん?持っているのは、ナイフ…?

タイヤのホイールまでピンクで統一されていて、かわいい。
しかし、FUJIMIという文字が気になります…。

 

そして、ボンネットに描かれているのはこちら。
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う、馬……???

これは一体どういうことなのか…。

 

 

たくさんの疑問を抱えつつ、会社の事務所に戻り、
長谷川部長にお話をお聞きしました。

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笠田 そもそも、なぜ痛車のレンタルを始めたのですか?
長谷川 何か、楽しいことをしたいと思ったんですよ。私のモットーは、『楽しく生きよう』。3年前、ささいなきっかけだったと思うだけど、『痛車をやってみたら楽しいんじゃないか』となって。
笠田 なるほど~。
長谷川 『なるほど』ってなんか、かっこいいわよね。娘もよく言うのよ。あたしも言ってみたいけど、なかなか言えないの!
笠田 そ、そうですかね…。

(以降、笠田は『なるほど』と言えなくなる)
痛車をやろうとしたときに、社内で反対されることはなかったんですか?

長谷川 ないない!私はね、裏社長なの。裏のボスみたいな感じ。誰も反対できません。
笠田 (笑)。
長谷川 それで、はじめは初音ミクをラッピング(*ラッピングシートにデザイン・印刷し、車に貼り付けること)しようと思ったの。ライセンスに関する問題もなく、話は進んでいたのだけど、最後の最後になって、やっぱりできなくなって…。

それで、オリジナルのキャラクターを作ろうと思って生まれたのが、『Dr.フジミ』ちゃん。

笠田 あ!FUJIMIという文字は、あの女の子の名前だったんですね。
長谷川 そう。名前の由来は、『美ツ冨士』から文字を取って、“不死身”という言葉につなげました。

フジミちゃんは、外科医なんです。だからメスを持ってるのよ。

笠田 やっぱりあの服は、白衣だったんですね。そして

あのナイフのようなものは、メスか~。

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Dr.フジミのステッカー

 

 

長谷川 普段は外科医で病気を治しますが、事故車や故障車を直すのもお仕事。ちなみに、外科医のときは黒髪で、車の修理のときはピンク色の髪になるのよ。

実はフジミちゃんにはモデルがいて、私の娘なの。

実際に病院で働いてるんですよ。

そして、馬に乗っていたでしょ?あの馬は、『チャリオット』っていう名前で、英語で“馬車”っていう意味なんだけど、タロットで占ってつけたの。

笠田 タ、タロット?
長谷川 私は元占い師だから。
笠田 あ、はい。

(もはや動じなくなってきた笠田。)

長谷川 タロットで馬は“勝利”を意味するんです。そこもいいなって思って。それで実はチャリちゃんにもモデルがいるんです。

 

そう言ってスマホを取り出す長谷川部長。

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長谷川部長のお馬・チャリオットさん

 

 

笠田 おお~。ピンクの手綱がかわいい。これもちゃんと、キャラクターの作画に生かされていますね。

いやー、あの痛車のキャラクターたちに、そんなストーリー設定があったとは…!
ところで、実際はどんな人が借りに来られるのですか?

長谷川 色々な人が借りに来られるから、どんな人と一言では言えないわね。

うちでレンタルできる車、すべてレンタルしたい!みたいなファンの人とかね(笑)。

ただ、言えるのは、みんな想いを持っていてまじめで、一生懸命な人ばかりってことです。

そういう姿を見ていると、良いなって思いますね。

笠田 確かに、こだわりを持ってる人って、素敵ですよね。

実際、痛車のレンタルを始めてみて、いかがですか?

長谷川 実は、本当にこの痛車をレンタルしていく人は、そんなに多くないの(笑)。

というのも、痛車のユーザーさんというのは、“自分の”車にラッピングしたいと思うものみたいなんです。レンタルを始めるまでは、痛車好きなら色々な車に乗りたいと思ってくれるだろうと考えていたのですが…。

まあ、今は集客のひとつですね~。この車をおもしろがって、写真を撮る方は多くいらっしゃいます。

笠田 なるほど。それも素晴らしい効果ですね。
長谷川 それと実は、この痛車を昨年、名古屋のモーターショーに出展することができたんですよ。痛車が出展するのは初めてのことなんです。
笠田 すごい!そんな歴史的瞬間を作ったのですね。
長谷川 そうね~。実際にとても評判がよかったです。

それと、Dr.フジミちゃんのコスプレをした女の子も、可愛かった!

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名古屋モーターショー出展時

 

笠田 おお~オリジナルキャラなのに、ちゃんと再現されてる…!

ご自分で企画なさったことが、こうした形になるのは嬉しいですよね。

長谷川 そうですね。

立場が悪くても、思いついたらとにかくやってみることが大事なんです。

元々、うちの会社は男性社会でした。女の私は、電話番や事務仕事のみで。

それを、自分が変えることができたなと思っています。

ちなみに私の得意技は、“1知っていることを、10知っているようにする”ですよ!

笠田 さすがです(笑)。

 

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アニメ好きが高じて作られたレンタル痛車だと思っていましたが、その裏には、企画者である長谷川部長の熱い想いがあったのでした。

新しいことにどんどんチャレンジしていく姿に、同じ女性の私は勇気づけられました!

見習って頑張っていきます。

 

ではまた!

笠田